松島 智仁|1人美容室の生きる道

1人美容室のカウンセリングは“感覚”でやるな。売上と信頼を変える設計図の作り方

1人美容室のカウンセリング設計と店販提案の重要性を伝える松島塾ブログのアイキャッチ画像

カウンセリングが変わると、美容室経営は変わる

先日、松島塾でカウンセリング合宿を開催しました。

内容はシンプルです。

塾生の実際のカウンセリングを僕が横で見て、その場でアドバイスする。

ただ、それだけです。

でも、これが本当に大きい。

数字だけを見ていると、

「売上が上がっているから大丈夫」
「店販も少しずつ伸びているから問題ない」
「次回予約も取れているからいい感じ」

と思ってしまうことがあります。

でも、実際のカウンセリングを見ると、見えてくるものが全然違います。

数字は良くても、
お客様の本音を聞けていないことがある。

商品は売れていても、
提案の順番がズレていることがある。

メニュー提案をしていても、
お客様が本当に納得していないことがある。

ここに気づけるかどうかで、
1人美容室の未来は大きく変わります。

僕は改めて思いました。

カウンセリングは、技術前の会話ではありません。

カウンセリングは、
お客様との信頼を作り、
メニューを決め、
商品提案につなげ、
次回予約までの流れを作る、
美容室経営の土台です。

だからこそ、感覚でやってはいけない。

売れるカウンセリングには、必ずゴールがある

今回の合宿で、僕が一番強く伝えたのは、
ゴール設定の重要性です。

カウンセリングで大事なのは、
何を聞くかよりも先に、

お客様をどこに導くのか

を決めておくことです。

たとえば、ただ髪を切る。
ただカラーをする。
ただトリートメントをすすめる。

これでは、他の美容室と大きな違いは出ません。

でも、

「このお客様に、半年後どんな状態になってほしいのか」
「1年後、どんな髪で過ごしてほしいのか」
「今の悩みを、どの順番で解決していくのか」

ここまで考えてカウンセリングできると、
お客様の受け取り方は変わります。

お客様は、商品を買いたいわけではありません。

自分の髪が良くなる未来。
扱いやすくなる毎日。
鏡を見るのが嫌じゃなくなる感覚。
年齢を重ねても安心できる髪。

そこに価値を感じます。

だから、美容師側が先にゴールを持っていないといけない。

ゴールがないカウンセリングは、
その場の会話で終わります。

ゴールがあるカウンセリングは、
お客様の未来を一緒に作る時間になります。

カウンセリングには“設計図”が必要です

僕はよく、カウンセリングを建築に例えます。

家を建てる時に、設計図なしで作る人はいません。

リビングはどこにするのか。
キッチンはどこに置くのか。
導線はどうするのか。
家族がどう暮らすのか。

それを決めずに建て始めたら、
住みにくい家になります。

カウンセリングも同じです。

何となく悩みを聞く。
何となくメニューを説明する。
何となく商品をすすめる。
何となく次回予約を取る。

これでは、お客様も迷います。

美容師自身も迷います。

だから、カウンセリングにも設計図が必要です。

たとえば、

新規のお客様用の設計図

初めて来店されたお客様には、
まず信頼関係を作る必要があります。

悩みを聞くだけではなく、
過去の施術履歴、普段のケア、髪に対する価値観、今後どうなりたいかまで確認する。

ここで大事なのは、
いきなり売ろうとしないことです。

まずは、お客様の現状と未来を整理する。

2回目のお客様用の設計図

今回、僕自身も改めて感じたのが、
2回目のカウンセリングの重要性です。

多くの美容室では、2回目以降になるとカウンセリング時間が短くなります。

「前回と同じ感じでいいですか?」
「今日はどうしますか?」
「気になるところありますか?」

こういう流れになりやすい。

でも、本当は2回目こそ大事です。

前回の仕上がりはどうだったのか。
家で再現できたのか。
扱いにくかったところはなかったのか。
使った商品やケアの変化はあったのか。

ここを聞かずに進めると、
お客様の本音を拾えません。

僕は、2回目でもしっかり時間を取ります。
1年間くらいは、2回目でも30分近くカウンセリングすることもあります。
短くても20分くらいは取ります。

なぜなら、ここで信頼が深まるからです。

3回目以降のお客様用の設計図

3回目以降は、関係性ができてきます。

でも、ここでも何となく流してはいけません。

前回、前々回との変化。
髪の状態の積み上がり。
季節による悩み。
今後必要になるケア。

ここを確認しながら、
メニュー提案と商品提案を自然につなげていく。

この設計図があるから、
押し売りにならずに提案できます。

感覚でやる美容師ほど、押し売りっぽくなる

今回の合宿では、4名の塾生のカウンセリングを見ました。

その中で、1名は本当に素晴らしかった。

松島塾で伝えているカウンセリングを、
かなり高い精度で再現していました。

正直、横で見ていて僕自身も、

「これは買いたくなるな」

と思うレベルでした。

でも、それは話し方が上手いからではありません。

順番がきれいだったんです。

お客様の悩みを聞く。
現状を整理する。
未来のゴールを共有する。
必要なメニューを提案する。
ホームケアの必要性を伝える。
次回までの流れを作る。

この流れがあるから、押し売りにならない。

逆に、改善が必要だった塾生もいました。

厳しく言うと、
その提案では僕なら買いません。

理由は、商品が悪いからではありません。
メニューが悪いからでもありません。

お客様の声を聞く前に、提案が先に出ていたからです。

これは美容師あるあるです。

良い商品だと分かっている。
良いメニューだと分かっている。
お客様のためになると分かっている。

だから伝えたくなる。

でも、お客様の中で必要性が整理される前に提案すると、
それは押し売りに感じられます。

美容師側は親切のつもりでも、
お客様側は売られていると感じる。

このズレが怖いんです。

まずは徹底的にパクる。オリジナルはその後でいい

僕は塾生に、よくこう伝えます。

まずは徹底的にパクってください。

最初からオリジナルを出そうとしなくていい。

なぜなら、成果が出る前のオリジナルは、
ただの自己流になりやすいからです。

僕自身、今のカウンセリングを作るまでに、
何年もかかっています。

昔は、参考になるものもほとんどありませんでした。

自分のカウンセリングを動画で撮って、
文字起こしして、
どこでお客様が反応したのか、
どこで迷ったのか、
どこで納得したのかを何度も見直しました。

そうやって、パターンを作ってきました。

でも、今は違います。

松島塾には、すでに使える型があります。
カウンセリングの流れもあります。
ヒアリングの考え方もあります。
商品提案の順番もあります。
次回予約につなげる設計もあります。

だから、まずはそのまま使えばいい。

完全に真似して、
成果が出て、
理解できてから、
自分の言葉に変えていけばいい。

守破離で言えば、最初は「守」です。

いきなり「破」や「離」に行くから、ズレます。

カウンセリングは、スタッフ教育にも使える

今回、特に良かった塾生は、
松島塾のカウンセリングを自分だけで使っていたわけではありません。

スタッフ用のマニュアルとして落とし込んでいました。

これが本当に大きい。

オーナーだけができるカウンセリングでは、
サロン全体の売上は安定しません。

スタッフが再現できる形にする必要があります。

その塾生のサロンでは、
スタッフの売上も上がっていました。

しかも、ただ売上が上がっただけではありません。

スタッフが、

「仕事が楽しくなった」

と言っていたそうです。

僕は、これがすごく嬉しかった。

なぜなら、カウンセリングができるようになると、
美容師の仕事は楽しくなるからです。

お客様の悩みが分かる。
提案に自信が持てる。
商品をすすめることに罪悪感がなくなる。
次回につながる理由が分かる。
お客様から感謝される。

そうなると、仕事の意味が変わります。

店販は、商品を売ることではありません。

お客様の未来に責任を持つことです。

その考え方がスタッフにも伝わると、
サロンの文化が変わります。

長年のお客様にも、改めてカウンセリングは必要です

長く通ってくださっているお客様ほど、
カウンセリングが雑になりやすいです。

これは、僕自身も経験があります。

10年来のお客様だと、
いつもの感じで会話して、
いつもの流れで施術して、
いつものように終わる。

関係性があるからこそ、
改めて深く聞くのが恥ずかしい。

でも、ある時から僕は変えました。

長く通ってくださっているお客様にも、
ちゃんと未来の話をするようにしました。

「これからもっと髪を良くしていきたいので、改めて聞かせてください」

そう伝えると、意外とお客様はちゃんと話してくれます。

むしろ、喜んでくれることも多いです。

長年通っているからこそ、
本当は言えていなかった悩みがある。

年齢とともに変わってきた不安がある。

白髪、細毛、うねり、ボリューム、頭皮、乾燥。
昔とは悩みが変わっていることもあります。

それを聞かずに、昔のまま対応していたら、
お客様の未来には責任を持てません。

雑談も大事。でも順番を間違えてはいけない

美容師の仕事には、雑談も大事です。

長く通ってくださるお客様とは、
髪の話だけでなく、家族の話、仕事の話、人生相談になることもあります。

これは美容師の素晴らしい価値です。

ただし、新規のお客様や関係性が浅い段階では、
雑談を優先しすぎると大事なことが聞けなくなります。

僕は、新規のお客様に対しては、
3回目くらいまでは雑談をほとんどしません。

冷たい接客をするという意味ではありません。

限られた時間の中で、
お客様の髪を良くするために必要な情報を聞くことを優先するということです。

何に悩んでいるのか。
なぜそうなったのか。
何を望んでいるのか。
家で何ができて、何ができないのか。
どこまで本気で変えたいのか。

ここを聞かずに雑談で終わってしまうと、
カウンセリングではなく、ただの会話になります。

会話は大事です。
でも、順番が大事です。

AIを使えば、カウンセリング設計はもっと簡単に作れる

昔は、自分のカウンセリングを動画で撮って、
文字起こしして、
何度も見返して、
自分で分析するしかありませんでした。

今は違います。

ChatGPTのようなAIを使えば、
カウンセリングの設計図はかなり作りやすくなっています。

たとえば、

新規用のカウンセリング。
2回目用のカウンセリング。
3回目用のカウンセリング。
髪質改善メニュー用。
白髪ケア用。
頭皮ケア用。
店販提案用。
次回予約用。

こういったパターンを作ることができます。

もちろん、AIが全部やってくれるわけではありません。

でも、自分の頭の中だけで考えるより、
はるかに整理しやすい。

大事なのは、感覚で終わらせないことです。

動画を撮る。
文字にする。
流れを見直す。
AIも使って整理する。
実際の現場で試す。
また改善する。

この繰り返しです。

カウンセリングは才能ではありません。
設計して、練習して、改善すれば、必ず変わります。

カウンセリングが変わると、店販の意味も変わる

店販が苦手な美容師ほど、
商品を売る瞬間だけを見ています。

でも、本当はそこではありません。

商品が売れるかどうかは、
商品説明の前に決まっています。

最初のヒアリング。
悩みの整理。
ゴールの共有。
メニュー提案。
施術中の確認。
アフターカウンセリング。
次回までの過ごし方。

この流れの中で、
お客様が必要性を感じるから商品が売れます。

つまり、店販は単体ではありません。

カウンセリング、メニュー、技術、アフターケア、次回予約。
すべてがつながっています。

だから僕は、メニュー提案と商品提案を同時に考えます。

メニューだけを変えても、
家でのケアが変わらなければ結果は続きません。

商品だけをすすめても、
サロンでの施術設計がズレていれば納得されません。

両方をつなげるから、
お客様の満足度が上がり、
客単価も上がり、
リピートにもつながります。

店販は売上を増やすためだけのものではありません。

お客様の結果を持続させるための仕組みです。

1人美容室ほど、カウンセリングを仕組みにした方がいい

1人美容室は、すべてを自分でやります。

集客。
接客。
技術。
会計。
商品管理。
発信。
経営判断。

だからこそ、感覚でやる部分が多いほど疲れます。

毎回その場で考える。
毎回アドリブで話す。
毎回お客様の反応に合わせて迷う。

これを続けると、体力も思考も削られます。

でも、カウンセリングに設計図があると、
迷いが減ります。

お客様にも伝わりやすくなる。
提案も自然になる。
店販も押し売りにならない。
次回予約も取りやすくなる。
結果として、働き方も安定します。

技術売上だけに頼る働き方は、
どうしても時間依存になります。

でも、カウンセリングを整えることで、
メニュー提案、商品提案、次回予約、信頼関係がつながり、
売上の作り方が変わります。

これは、単なる接客改善ではありません。

1人美容室の働き方そのものを変える入口です。

最後に

今回のカウンセリング合宿を通じて、
僕自身も改めて感じました。

カウンセリングは、
お客様を説得する時間ではありません。

お客様の悩みを整理し、
未来のゴールを共有し、
必要な選択肢を一緒に決めていく時間です。

だから、感覚だけでやってはいけない。

ゴールを決める。
設計図を作る。
まずは徹底的に真似る。
動画で確認する。
AIも使って整理する。
1回目、2回目、3回目で流れを変える。

ここまでやると、
カウンセリングは必ず変わります。

そして、カウンセリングが変わると、
店販も変わります。
客単価も変わります。
次回予約も変わります。
お客様との信頼関係も変わります。

40代前後の1人美容室経営者ほど、
ここを後回しにしない方がいいです。

技術を磨くことは大切です。

でも、技術だけでお客様の未来を守ることはできません。

お客様の未来を良くするために、
どんな順番で聞き、
どんな言葉で伝え、
どんな提案をするのか。

そこまで設計できて、
初めてカウンセリングは経営の武器になります。

もし今、カウンセリングを感覚でやっているなら、
一度、自分のカウンセリングを動画で撮って見直してみてください。

どこでお客様の本音を聞けているのか。
どこで提案が早すぎるのか。
どこでゴールが曖昧になっているのか。

そこに気づけるだけでも、
明日からの接客は変わります。

カウンセリングは、売るための技術ではありません。

お客様の未来と、自分の働き方を変えるための設計図です。