松島 智仁|1人美容室の生きる道

技術売上200万円でも不安が消えない理由|1人美容室が見直すべき時間単価

技術売上があっても、安心できない美容室経営はある

今日の朝、ウォーキングをしながらインスタライブをしました。

昨日は兵庫から博多、そして長崎へ移動して、ある美容室経営者さんとYouTube撮影をしてきました。

その中で事業相談をさせてもらったのですが、内容が今の1人美容室や小規模サロン経営者にかなり大事な話だったので、ブログでも整理しておきます。

最初に結論から言うと、
技術売上があるだけでは、働き方の不安は消えません。

月100万円売れている。
月150万円売れている。
月200万円売れている。

これは本当に素晴らしいことです。
簡単にできることではありません。

でも、技術売上があることと、将来に安心できることは別です。

なぜなら、技術売上は基本的に自分の時間と体力を使って作る売上だからです。

予約は埋まっている。
お客様も来てくれる。
売上もある。

それでも、ふとした時に、

「この働き方を10年後も続けられるのか」
「60歳になっても同じように立ち続けられるのか」
「家族との時間や自分の体力は大丈夫なのか」

こういう不安が出てくる。

この不安の正体は、売上不足だけではありません。
見直すべきなのは、時間単価です。

技術売上200万円でも、不安が残る理由

今回相談してくれた栗さんは、組織の中でもナンバーツー的な立場で、技術売上もしっかりあります。

月に200万円前後の技術売上がある。
アシスタントさんもいる。
お客様も来ている。

外から見れば、かなり順調に見えると思います。

でも、話を深く聞いていくと、やっぱり不安があるんです。

「このままで将来、大丈夫なのか」
「スタッフを抱えながら、この形を続けられるのか」
「技術売上はあるけど、時間と利益に余裕があるとは言えない」

ここなんです。

売上だけを見ると、うまくいっているように見える。
でも、時間単価で見た瞬間に、違う景色が見えてきます。

これは栗さんだけの話ではありません。

1人美容室でも、小規模サロンでも、フリーランス美容師でも同じです。

売上はある。
でも、休めない。
利益が残らない。
体力が削られている。
家族との時間が取れない。

この状態になっているなら、見るべき数字は月商だけではありません。

その売上を、何時間で作っているのか。

ここを見ないと、働き方は変わりません。

1人美容室が見るべき数字は「時間単価」

僕は今、技術に対する時間単価のひとつの基準を、最低8,000円と考えています。

例えば、1日8時間働くなら、

8,000円 × 8時間 = 64,000円

つまり、1日8時間働いて64,000円の技術売上が立つ状態です。

もちろん、地域差もあります。
メニュー構成も違います。
1人でやっているのか、スタッフがいるのかによっても変わります。

だから、全員が絶対にこの数字でなければいけないという話ではありません。

ただ、40代前後の美容師が、これから先も体力・時間・利益・家族との時間を守りながら働くなら、時間単価は絶対に見た方がいいです。

僕自身、昔はここを見ていませんでした。

独立当初は、客単価5,000円〜6,000円。
時間単価でいうと、3,000円くらいだったと思います。

月に28日働いて、営業時間は14〜15時間。
朝から夜遅くまで働いて、それでも余裕がない。

お客様は来てくれる。
売上もゼロではない。

でも、心も体も削られていく。
家族との時間もなくなっていく。

今振り返ると、かなり危ない働き方でした。

当時の僕は、売上を上げるためにもっと働くしかないと思っていました。

でも、本当は違いました。

頑張りが足りなかったのではなく、設計が間違っていたんです。

客単価だけでなく、施術時間まで見る

時間単価を考える時に大事なのは、客単価だけで判断しないことです。

例えば、3万円のメニューがあったとします。

一見、高単価に見えます。
でも、そのメニューに5時間かかっていたら、時間単価は6,000円です。

それだと、体力も時間もかなり使います。

逆に、18,000円のメニューを1時間15分で提供できれば、時間単価は1万円を超えます。

僕の今のメニューでいうと、髪質改善カラーがあります。

カットなしで18,000円(税込)。
時間はだいたい1時間15分くらいです。

もちろん、早ければいいという話ではありません。

お客様の満足度を下げずに、むしろ価値を感じてもらいながら、施術時間と売上のバランスを整える。

ここが大事です。

高単価メニューを作ることと、長時間メニューを作ることは、同じではありません。

1人美容室の場合、長時間メニューばかり増えると、売上は上がっても疲弊します。

だからメニューを考える時は、

このメニューは、どれくらいの時間で、どれくらいの価値を生むのか?

ここまで見た方がいいです。

最初から大きな値上げをしなくてもいい

時間単価を上げるというと、いきなり大きな値上げを想像する人もいると思います。

でも、僕が最初にやったことは、そんなに難しいことではありませんでした。

最初に取り組んだのは、カラー剤の変更です。

ヴィラロドラというオーガニックカラーを導入して、通常のカラーにプラス2,000円で提案しました。

これの良かったところは、労力がほとんど変わらないことです。

施術時間が大きく増えるわけではない。
体力を余計に削るわけでもない。
でも、お客様にとっては価値が上がる。

こういう設計が、1人美容室には必要です。

ただ、メニューを作っただけでは選ばれません。

大事なのは、カウンセリングです。

お客様の髪や頭皮の状態を確認する。
今、何に困っているのかを聞く。
なぜそのメニューが必要なのかを伝える。
お客様自身が納得して選べる状態を作る。

そうすると、価格はただの高い・安いではなくなります。

僕の場合は、結果的に約8割のお客様が、より価値の高いメニューに移行していきました。

無理に売り込んだわけではありません。

お客様が必要性を理解できれば、自然に選んでくれる。

ここを作ることが大事です。

技術売上だけには、必ず限界がくる

1人美容室の場合、技術売上にはどこかで限界がきます。

僕の場合、1人で技術売上を積み上げていった時、限界はだいたい180万円くらいでした。

もちろん、人によってはもっといけると思います。
地域や単価、メニュー構成によっても変わります。

でも、どこかで必ずぶつかります。

なぜなら、技術売上は基本的に自分の時間を使わないと増えない売上だからです。

1日に入れるお客様の数には限界があります。
自分の体力にも限界があります。
家族との時間もあります。
年齢とともに、若い時と同じ働き方はできなくなります。

だからこそ、僕は店販が大事だと思っています。

店販というと、まだまだ「商品を売ること」と考えている美容師さんが多いです。

でも、僕は店販をただの物販とは考えていません。

店販は、時間依存から抜けるための柱です。

例えば、髪質改善カラーが15,000円だったとします。
施術時間が2時間なら、時間単価は7,500円です。

ここに、お客様に必要なホームケア商品を5,000円購入していただいたらどうなるか。

同じ2時間で、売上は20,000円になります。
時間単価は10,000円です。

これが店販の力です。

もちろん、無理に売るという話ではありません。

お客様の髪を良くするために、必要なものを伝える。
美容室で綺麗にするだけではなく、家に帰ってからも髪が良くなる状態を設計する。

その結果として、商品購入につながる。

これが本来の店販だと思います。

問題は、店販そのものではありません。

必要性が伝わる提案の仕組みがあるかどうかです。

40代からは「頑張る量」ではなく「設計」で変える

40代前後の美容師が、これから働き方を変えていくなら、もう根性論だけでは厳しいです。

もちろん努力は必要です。

でも、ただ予約を増やす。
ただ営業時間を伸ばす。
ただ休みを減らす。

このやり方では、どこかで限界がきます。

必要なのは、設計です。

どんなメニューで時間単価を上げるのか。
どんなカウンセリングで価値を伝えるのか。
どんな店販導線でお客様の髪を継続的に良くするのか。
何日働いて、いくら利益を残したいのか。
家族との時間をどれくらい確保したいのか。
60歳の自分が、どんな働き方をしていたいのか。

ここまで考えた方がいいです。

僕自身も、独立してから最初の数年は本当に苦しかったです。

でも途中で、計画を立てました。

客単価、リピート率、稼働日数、稼働時間。
何年目にどこまでいくのか。

細かく決めました。

もちろん、1年目も2年目も3年目も、思った通りにはいきませんでした。

でも、決めていたから改善できました。
決めていたから、ズレに気づけました。
決めていたから、やり方を変えることができました。

そして独立4年目の12月に、ようやく売上400万円を超えることができました。

計画は、立てたら必ずその通りになるものではありません。

でも、計画がなければ、何を変えたらいいのかがわかりません。

理想の働き方から逆算すること。

これが本当に大事です。

技術売上だけに、美容師人生を預けない

僕が今日のライブで一番伝えたかったのは、ここです。

技術売上だけに、美容師人生を預けない方がいい。

技術は、美容師にとって大切です。

技術があるから、お客様に喜んでもらえる。
技術があるから、信頼してもらえる。
技術があるから、美容師として選んでもらえる。

でも、技術売上だけで、時間も体力も利益も家族との未来も守ろうとすると、どこかで苦しくなります。

特に40代からは、若い時と同じようには働けません。

これはネガティブな話ではありません。

だからこそ、今のうちから設計を変えた方がいいという話です。

月商だけではなく、時間単価を見る。
客単価だけではなく、施術時間を見る。
技術売上だけではなく、店販も設計する。
目の前の売上だけではなく、60歳の働き方から逆算する。

売上を上げるために、もっと働くのではなく、
同じ時間で、より価値が伝わり、利益が残る形に変えていく。

これが、これからの1人美容室や小規模サロンに必要な考え方だと思っています。

まずは、自分の時間単価を出してみてください

今日の内容を読んで、最初にやってほしいことはシンプルです。

まずは、自分の時間単価を出してみてください。

1日の技術売上 ÷ 実際に働いた時間
1ヶ月の技術売上 ÷ 実際に働いた時間

ざっくりで構いません。

その数字を見た時に、

この働き方を、この先も続けたいと思えるか?

ここを考えてみてください。

もし、予約は埋まっているのに不安があるなら。
もし、売上はあるのに休めていないなら。
もし、家族との時間や将来にモヤモヤがあるなら。

見るべきは、もっと予約を入れることではないかもしれません。

働き方の設計そのものを変えるタイミングです。

今回のインスタライブでは、この内容をもう少しリアルな言葉で話しています。

特に、

「技術売上200万円でも、なぜ不安が残るのか」
「時間単価8,000円をどう考えるのか」
「店販がなぜ働き方を変える柱になるのか」

このあたりを、実際の相談内容も交えながら話しています。

気になる方は、ぜひインスタライブも見てみてください。

▼インスタライブはこちら