はじめに
商品を一度購入してもらうことはできても、2回目、3回目につながらない。
キャンペーンの月は売れるが、通常月になると売上が下がる。
購入後に、どのような連絡をすればよいか分からない。
もう一度商品について話すと、
「また売ろうとしていると思われるのではないか」
と不安になる。
このような悩みを抱えている美容師は少なくありません。
今回紹介する事例も、最初から店販が得意だったわけではありません。
当初の店販売上は、月1万円から3万円ほど。
お客様から商品について聞かれても、
「ネットの方が安いので、そちらで買ってください」
と案内していました。
そこから考え方と行動を変え、お客様一人ひとりと向き合った結果、
- 取り組み開始1カ月で店販売上30万円超
- 4カ月で店販売上46万円
- 購入率40%以上
- 10カ月後の12月に店販売上313万9,647円
- 総売上440万円
- 稼働日数19日
- 商品の継続購入率約90%
という成果につながりました。
現在は、稼働日数を14日から15日ほどに減らし、夕方4時ごろに営業を終え、別の事業にも時間を使える働き方へ変わっています。
この結果は、強く売り込んだから生まれたものではありません。
お客様が、
- なぜ商品を使う必要があるのか
- なぜ使い続ける必要があるのか
- どのように使えばよいのか
- 実際に何が変わったのか
を理解できる環境を作った結果です。
継続購入は、同じ商品を何度も売ることではありません。
お客様に変化が生まれるまで、継続して支えること
です。
この教材のゴール
この教材では、商品を一度販売して終わる状態から抜け出し、継続購入につなげるための6つの壁を整理します。
壁1|マインドセット
もう一度すすめることへの不安をなくす。
壁2|商品開拓
お客様の悩みに対応できる商品を揃える。
壁3|カウンセリング
商品を売る前に、お客様の悩みを理解する。
壁4|継続する必要性
なぜ長く使う必要があるのかを共有する。
壁5|アフターフォロー
購入後の使用方法と変化を確認する。
壁6|キャンペーン依存
キャンペーン月だけではなく、通常月から継続購入される状態を作る。
この6つを整えることで、
初回購入
↓
必要性の理解
↓
正しい使用
↓
効果実感
↓
個別フォロー
↓
継続購入
という流れが生まれます。
1.なぜ商品は2回目から売れなくなるのか
商品を一度購入してもらった後、継続されない原因は、お客様だけにあるとは限りません。
美容師側が、
- もう一度話すことを怖がっている
- 商品を使い続ける理由を伝えていない
- 正しい使い方を確認していない
- 購入後の変化を聞いていない
- キャンペーンの時期だけ商品を案内している
という状態になっていることがあります。
お客様からすると、
「一度使えばよい商品なのか」
「いつまで続ければよいのか」
「この使い方で合っているのか」
「本当に自分に合っているのか」
が分からないままです。
一度購入してもらっただけでは、継続購入は生まれません。
商品を使い続ける意味と、変化を確認する流れが必要です。
2.継続購入を止める6つの壁
壁1|もう一度すすめることが怖い
壁
商品を提案すると、
- 押し売りだと思われそう
- また売ろうとしていると思われそう
- 断られたら気まずい
- 一度買ってもらったから、もう話しにくい
という不安が生まれます。
この不安があると、必要な商品であっても伝えられません。
変えたこと
商品提案に対する考え方を、
商品を売ること
から、
お客様の悩みを解決すること
へ変えました。
今回の事例では、
商品提案=人助け
と考えられるようになったことで、商品について話すことへの抵抗がなくなりました。
技術だけでは、お客様が自宅で抱えるすべての悩みを解決できません。
毎日使用するシャンプーやトリートメント、頭皮ケアなども含めて伝えることが、美容師としてのサポートだと考えました。
現場で行うこと
商品を紹介する前に、自分へ問いかけます。
この商品を売りたいのか。
それとも、お客様の悩みを改善したいのか。
売上ではなく、お客様の状態を良くすることへ意識を戻します。
壁2|お客様の悩みに合う商品がない
壁
悩みを聞くことができても、その悩みに対応できる商品がサロンになければ、提案できません。
同じ商品だけを扱い続けていると、現在のお客様が抱えている悩みと合わなくなることがあります。
変えたこと
売れそうな商品を先に探すのではなく、お客様の声から必要な商品を探しました。
- お客様が何に困っているのか
- 今使っている商品に、どのような不満があるのか
- 髪・頭皮・肌をどのように変えたいのか
を聞き、その悩みを解決できる商品を探しました。
商品を探すために、
- メーカーやディーラーの商品説明会へ参加する
- ほかの美容師が扱っている商品を調べる
- 自分自身で使用する
- 利益率を確認する
という行動も行いました。
現場で行うこと
自店のお客様から多く聞く悩みを一つ書き出します。
その悩みに対応できる商品が、現在サロンにあるかを確認します。
商品がない場合は、お客様の悩みを基準に探します。
壁3|カウンセリングが足りない
壁
これまで商品をほとんど伝えてこなかった美容師が、急に商品をすすめると、お客様は、
「急にどうしたのだろう」
「何か売ろうとしているのではないか」
と感じる可能性があります。
説明もなく商品提案を始めると、お客様との間に違和感が生まれます。
変えたこと
商品について聞く前に、
なぜ今からホームケアの話をするのか
を、一人ひとりへ説明しました。
今までは、技術だけでお客様の悩みを何とかしようとしてきました。
しかし、技術だけでは解決できない部分があると分かりました。
これから長くお付き合いさせていただくためにも、ご自宅で使っているものについて、お話を聞かせてください。
これまで必要な情報を伝えてこなかったことにも向き合い、正直に説明してからカウンセリングを始めました。
最初は約30分多く時間を取った
取り組み始めた当初は、お客様一人につき、通常より約30分多く時間を確保しました。
売ることを急がず、
- なぜ話を聞くのか
- 今まで何が足りなかったのか
- これからどのようにサポートしたいのか
を伝えたうえで、悩みを聞きました。
現場で行うこと
既存のお客様へ急に商品をすすめるのではなく、最初に店販へ取り組む理由を伝えます。
その後、
- 現在の悩み
- 自宅で使っている商品
- 現在の商品で困っていること
- どのような状態を目指したいか
を聞きます。
商品を売るために悩みを探すのではありません。
悩みを理解した結果として、必要な商品があれば紹介します。
壁4|続ける必要性が伝わっていない
壁
お客様が商品を継続しない理由の一つが、
どのくらい使い続ける必要があるのか分からないこと
です。
良いシャンプーやトリートメントでも、髪そのものを一度で根本から変えられるわけではありません。
一度使って終わりだと思われていれば、2回目の購入にはつながりません。
変えたこと
髪を良くしていく取り組みは、長期戦であることを伝えました。
これから生えてくる髪を、できるだけ傷ませずに育てていく必要があります。
今回の事例では、目安として、
- ショートは約半年
- ミディアムは約1年
- ロングはそれ以上
の期間が必要になることを伝えていました。
お客様と計画を共有した
ただ、
「続けてください」
と伝えるのではありません。
- どのような状態を目指すのか
- どのくらいの期間が必要なのか
- 次回来店時に何を確認するのか
- 何が変われば順調なのか
を共有しました。
2カ月ほど使用した後に変化が見られた場合は、
「良くなりましたね」
「このまま続ければ、さらに変わりそうですね」
と、お客様と一緒に確認しました。
実際に、毎日使用していたアイロンが必要なくなり、余計なダメージが減った事例もありました。
現場で行うこと
商品を提案するときに、購入する理由だけではなく、
- 必要な使用期間
- 目指す状態
- 次回確認する変化
まで伝えます。
お客様が効果を実感すると、商品を使い続けることが当たり前になっていきます。
壁5|購入後のフォローがない
壁
商品購入時に使い方を説明しても、お客様がすべて覚えているとは限りません。
- 使用量
- 使用する順番
- 使用頻度
- 効果的な使い方
を忘れてしまうことがあります。
間違った使い方をすると、十分な効果を感じられません。
効果を感じられなければ、継続購入にもつながりません。
変えたこと
商品を購入したお客様一人ひとりへLINEを送りました。
購入時に説明した内容を、改めて伝えます。
- 正しい使い方
- 使用量
- 商品を使用する順番
- 効果を感じやすい使い方
手間はかかりますが、一度丁寧に伝えることで、正しく使用してもらいやすくなります。
今回の事例では、
「アフターフォローをしていなければ、現在の結果にはなっていなかった」
と語られています。
サンプルを渡した方にも連絡した
商品購入者だけでなく、サンプルを渡した方にも連絡しました。
- 実際に使用したか
- 使用感はどうだったか
- どのような変化があったか
- 合わない部分はなかったか
をアンケートやLINEで確認しました。
そのまま商品購入につながる方もいれば、
「自分には合わなかった」
という方もいます。
合わなかった声も、次の提案や商品選びに生かします。
現場で行うこと
購入当日
使い方・使用量・順番を説明する。
↓
購入後
LINEで使い方をもう一度伝える。
↓
使用後
使用感と変化を確認する。
↓
次回来店時
状態を一緒に確認する。
↓
合わなかった場合
無理に続けさせず、別の商品や方法を考える。
壁6|キャンペーン月しか売れない
壁
キャンペーンの時期だけ商品が売れ、通常月になると商品が動かない。
この状態では、継続購入の仕組みができているとはいえません。
安いから買うお客様を増やすだけでは、キャンペーン終了後に購入が止まります。
変えたこと
キャンペーンを、
新しく商品を売り込む期間
ではなく、
普段から使っているお客様へ感謝を伝える期間
として考えました。
今回、12月に店販売上313万9,647円を作った背景には、3月からの積み重ねがありました。
- 3月から一人ひとりへ商品を伝えた
- 悩みを聞いた
- 商品を使ってもらった
- 変化を実感してもらった
- 継続購入につなげた
- 9月1日にキャンペーンブログを送った
- サロンワークでも感謝企画を案内した
12月に入る前には、多くのお客様がシャンプーやトリートメントをすでに使用していました。
商品の良さを知らない人へ、割引だけを理由に販売したわけではありません。
普段使っている商品を、感謝企画の期間に購入してもらった結果です。
現場で行うこと
キャンペーンの売上だけを見るのではなく、通常月を確認します。
- 普段から商品を使用してもらえているか
- 平月にも継続購入があるか
- 商品の変化を実感してもらえているか
- 購入後のフォローが行われているか
今回の事例では、キャンペーン以外の月にも、店販売上20万円から30万円ほどが作られる状態になりました。
平月の継続購入があるからこそ、キャンペーンの売上も大きくなります。
3.継続購入率90%を支えた3つの行動
6つの壁の中でも、特に重要だったのが次の3つです。
1.既存のお客様へ、店販を始める理由を説明した
これまで商品を伝えてこなかった状態から、急に提案を始めるのではありません。
技術だけでは解決できない悩みがあることを認め、
「これから長くお付き合いするために、ホームケアについて聞かせてほしい」
と正直に説明しました。
この入り口があることで、お客様は商品を売り込まれるのではなく、自分の悩みを解決するための話だと理解できます。
2.最初は一人につき約30分多く時間を取った
結果を急いで商品を紹介するのではなく、まず話を聞くための時間を作りました。
お客様の悩みを理解できなければ、必要な商品も、継続する理由も伝えられません。
店販売上を上げる前に、お客様を理解する時間を増やしました。
3.購入者一人ひとりへLINEを送った
購入時の説明だけで終わらず、正しい使い方や順番を改めて伝えました。
購入後も気にかけてもらえていると感じることで、お客様との信頼も深まります。
この個別フォローが、効果実感と継続購入を支えました。
継続購入の全体設計
初回カウンセリング
なぜ商品について聞くのかを伝える。
↓
悩みの深掘り
お客様が困っていることを理解する。
↓
商品提案
悩みに合う商品だけを紹介する。
↓
継続理由
必要な期間と目指す状態を共有する。
↓
購入後のLINE
使い方・使用量・順番を改めて伝える。
↓
使用後の確認
効果や使いにくかった点を聞く。
↓
次回来店
変化を一緒に確認し、次の計画を考える。
↓
継続購入
お客様が必要性と変化を理解したうえで使い続ける。
実践シート1|自店の6つの壁診断
現在の状態に印を付けてください。
| 6つの壁 | できている | 一部できている | できていない |
|---|---|---|---|
| 商品提案を悩み解決として考えている | □ | □ | □ |
| お客様の悩みに合う商品が揃っている | □ | □ | □ |
| 店販を始める理由を説明している | □ | □ | □ |
| 継続する期間と理由を伝えている | □ | □ | □ |
| 購入後に個別フォローをしている | □ | □ | □ |
| 通常月にも継続購入がある | □ | □ | □ |
最優先で見直す壁
【記入欄】
今週行うこと
【記入欄】
実践シート2|一人のお客様の継続購入設計
1.現在の悩み
【記入欄】
2.目指す状態
【記入欄】
3.提案する商品
【記入欄】
4.必要な使用期間
【記入欄】
5.購入後に送る内容
【記入欄】
6.次回来店時に確認する変化
【記入欄】
教材を読んだ後に行う3つのこと
1.最も不足している壁を一つ決める
6つすべてを同時に変えるのではなく、自店で最も不足している壁を選びます。
2.購入者一人へフォローする
最近商品を購入したお客様へ、使い方や使用感を確認します。
3.一人のお客様の継続計画を作る
そのお客様の悩み、目標、使用期間、次回確認する変化を整理します。
最後に
継続購入は、同じ商品を何度も売ることではありません。
商品を購入したお客様が正しく使い、変化を実感し、
「これからも使いたい」
と思えるところまで支えることです。
今回の事例も、最初は店販売上1万円から3万円ほどでした。
そこから、
- 店販を始める理由を正直に伝えた
- 約30分多く時間を取り、悩みを聞いた
- 長く使う必要性を説明した
- 購入者一人ひとりへLINEを送った
- 通常月から継続購入される状態を作った
ことで、継続購入率約90%、店販売上313万9,647円という結果につながりました。
商品を渡した時点で、店販を終わらせないでください。
お客様が正しく使えているか。
何が変わったのか。
困っていることはないか。
このまま続けることで、どのような状態を目指せるのか。
そこまで向き合うことが、継続購入につながります。
継続購入は、何度も売ることではない。
お客様に変化が生まれるまで、支え続けることである。
